2月のレコメンドディスク

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先月に引き続き、レコメンドディスク発表!!
今月は聴いたなぁ、買った、借りた、もらったの合わせて一ヶ月で40枚以上新しいレコードを聴きました。新譜はいいのばっかりだったし、ここでは紹介しきれない作品もいっぱいあります。
それではどうぞ。

bloc party
Bloc Party
Silent Alarm

<2005年 CD>
既に数枚のEPを出し、アルバム発売前にサマーソニックでの来日を果たしたBloc Partyの待ちに待ったファーストアルバム。テクノ、アシッドハウス以降のニューウェーブってこういう風に完成するものなのか。激マスト盤。初めてAt The Drive Inやナンバーガールを聴いたときのような衝撃が走る。また、黒人やチャイニーズがバンドメンバーにいる(フロントマンは黒人)事で、ロックンロールのアグレッシブさ、ニューウェーブの知性に加えて独特のリズム感覚が支配している。
ギターの絡みも複雑、カッチリしたドラムと、グッと入るブレイク。そこからの爆発力。それにモグワイにも通じる幻想的なトラックも。ボーナストラックでリミックスしているFour Tet、Mogwai、M83というメンツにも彼らの音楽性のレンジの広さが伺える。実際彼らは影響を受けたバンドに
ケリー(Vo.):The Cure, The Pixies, Basement Jaxx, Alan Bennett, Billy Mahonie, Hanif Kureishi, Bret Easton Ellis
ラッセル(G):Suede, Radiohead, Smashing Pumpkins, New Order, The Smiths, Prince
ゴードン(B):Anne Sexton, JG Ballard, Joy Division, melodic hardcore, Kubrick, the Gang Of Four, British post-punk, Sonic Youth
マット(Dr):Neil Young, Black Sabbath, Fleetwood Mac, Supertramp, Dinosaur Jr, pitch ‘n’ putt, International Superstar Soccer 64, coats, AFC Bournemouth, curry, driving, winter, rocking and tennis
を上げている。カオスとしか言いようがない。
そして一度ライブを目撃したいと切に思います。みなさんこの作品は本当に最高なので一度は聴いてください。

くるり
くるり
Birthday

<2005年 MAXI>
くるりが久しぶりのシングルをドロップ。元ドラムのクリストファーが脱退した理由を、本当に演奏で聴かせてくれた。
一見普通の“いい曲”のように聴こえる。僕は初めてこの曲をラジオで聴いた時、大した事ない曲だと思った。中域の音しか聴こえなかったからだ。普通にB♭→E♭→B♭→F→E♭にしか聴こえなかった。なんか中途半端だなぁと。でも実際聴いてみるとすごい気の利いたコードを使ってる。この曲はちゃんとしたオーディオか、ヘッドホンで聴かないと駄目だ。でないとレコーディングの良さはもちろん、ギターの微妙なコード使いや、手の込んだベースラインが耳も入って来ない。フォークベースのサウンドが、下で紹介するブライトアイズの作品とどこかリンクする。クリストファーがいなくなった事で生まれた無国籍感と、トラディショナルな空気感が絶妙なバランスを保ってる、快作。
この曲の跳ねすぎない、歌いすぎないドラムはクリストファーには出来ない。それに、初回限定にのみ収録されている水中モーターのライブテイク。これもクリストファー在籍時には出来なかったアレンジがちりばめられてる。主張しすぎないブレイクが最高だ。また、鍵盤が加わった事でボコーダのコード感が変わった。楽曲への愛がなければこういう演奏にはならないんだろう。日本で最高のバンドだよ。

har mar superstar
Har Mar Superstar
The Handler

<2004年 CD>
先日も紹介したハーマースーパースターのアルバム。
こりゃあ、全盛期のプリンス、ジャクソン5、それにダフトパンクのHarder Better faster Strongerを思わせるボコーダーに突入するハウスっぽい曲、なんか世の中のハッピーでスウィートでポップな要素が全て詰まってる。そして確信犯なのかどうかすら全く分からないあの容姿とパフォーマンス。正に天才。
この人がフジに出たら、何を差し置いても見に行く自信があります。

laltra
L’altra
Different Days

<2005年 CD>
シカゴのエレクトロニカ3人組がデュオになったL’altraの3rd。
生楽器と声が織りなす叙情的なメロディーにエレクトロニックなノイズやリズムが絡む。北欧的な空気感を漂わす作品。Telefon Tel Avivの2ndと共通する所があるなぁと思ったら、Telefon Tel AvivのJoshua Eustisとの共同制作でした。どうりでいい訳だ。

hood
Hood
Outside Closer

<2005年 CD>
アルバム全体に広がる荒涼としたサウンドスケープ、生楽器とエレクトロニクスが織りなすメランコリーが好きなんやろね僕は。アコースティックギター、ストリングス、ピアノ、ノイズが悲しみと暖かみをもって絡み合う。前作の流れからヒップホップにさらに影響を受けた作品に仕上がると思いきや、こんなにも美しい作品を携えて来てくれました。
そしてこうやって趣向の似たレコードを書き分けてレビューする事の難しさを痛感。HoodとL’altra、聴くと全然感触の違うレコードなのに言葉にすると同じになっちゃう。難しいねぇ。

bright eyes
Bright Eyes
I’m Wide Awake,It’s Morning

<2005年 CD>
ブライトアイズの2枚同時リリース作品の一枚。もう一枚の『Digital Ash In a Digital Urn』はエレクトロニックな実験的作品、本作はフォークに傾倒したオーガニックな作品です。そして本作品は素晴らしい。素晴らしすぎる!!M1でのポエトリーディングから一気にカウント~カントリー調の楽曲になだれ込む瞬間、それにM10での「メイク・サム・ノイズ!!!」という言葉と共になだれ込んでくる音の洪水、それだけでもう死にたくなるくらい感動する。
地味と言えば地味な作品なのかもしれないけど、僕は2005年始まってすぐだというのにBloc Partyの『Silent Alarm』とこの作品という名作に2枚も出会えて、とても幸せな気分なのであります。

Galaxy 2 Galaxy
Galaxy 2 Galaxy
A Hi-Tech Jazz Compilation

<2005年 CD>
デトロイトテクノの牽引者のひとり、URのマッド・マイクのプロジェクトNation 2 Nation, World 2 World, Galaxy 2 Galaxyのほぼ全てが網羅され、2枚組のCDとしてパッケージされた。
アンセム化した激キラートラック“Hi-Tech Jazz”ももちろん入っている。今聴いても全く色あせない不朽の名曲群に泣ける。”Hi-Tech Jazz”がCDで正式リリースされただけでこんなに嬉しい事はない。

テニスコーツ
テニスコーツ
エンディングテーマ

<2002年 EP>
植野隆司と植野さや、夫婦で立ち上げたレーベルmajikickの代表的アーティストがテニスコーツ。メンバーは流動的である。こちらは旧譜。
浮遊感溢れるサウンドと、暖かみのある音と声に包まれる。再販された『ぼくたちみんなだね』も必聴。

Postal Service
The Postal Service
Give Up

<2003年 CD>
サブポップからリリースされたアルバム。ポストロック、エモ、エレクトロニカ的な要素を持ちながらながら、北欧的なローファイサウンド。
北欧のアーティストはなんでこういう繊細でポップなな音作りが出来るのでしょう。でもHoodのように悲しみではなく、暖かさをどこか感じてしまう。くぐもった空のような絶望とそこに射す希望を同時に描く事に長けていると思います。それとも寂しさと暖かさって紙一重なんでしょうか。

yuki
Yuki
joy

<2005年 CD>
やっぱり入れちゃう!!だって良かったもん。モンスター級の可愛いビッチであり続けるYuki。
本作は3枚のシングルを含む13曲。先行一発目のシングル「Home Sweet Home」がまず本当に良かった。初めて本格的にやった喉を思いっきり開いて超高音域を増幅させる唱法(a.k.a Yumng Style)で衝撃を受けた。タイトルトラックの”Joy”も、くるりやスーパーカーの焼き直しのように見えて、実はかなり80sの匂いを感じる。シングルに収録されてる高木正勝のリミックスはマジでリピート再生しまくりました。YUKIエレクトロニカに開眼!!とか思ったらアルバムは普通。
いや、でもいいっすよ。ほめる言葉は見当たらないけど。

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  • 篠崎

    えー・・・一ヶ月40枚以上ってさぁ・・・一日一枚以上吟味してるわけですよねぇ・・・。一枚40分~50分くらい?・・・あぁ・・・まぁ時間的にはまぁ・・・ね。んなことより一枚2000円~3000円でしょう。もらったのは0円としてもアベレージ2000円は超えてるんじゃないですか?2000(円)X40(枚)=80000(円)!!80K円です。すごいね・・・音楽好きな人・・・っていうか「○○好きな人」ってみんなこうなの?